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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻9号

2021年08月発行

症例報告

重症度スコアからステロイド全身投与を回避したカルバマゼピンによる薬剤性過敏症症候群の1例

著者: 伊藤有亜1 倉田麻衣子1 小林英資1 下田由莉江1 佐藤洋平1 大山学1 水川良子1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.661 - P.666

文献概要

要約 37歳,女性.統合失調症に対するカルバマゼピン内服開始2か月後から発熱,軀幹四肢の紅斑が出現した.紅斑の拡大と顔面の浮腫のため当科を受診した.カルバマゼピンによる薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DiHS)を疑い,入院としカルバマゼピン内服を中止した.発熱と顔面の浮腫が強いことからステロイドの全身投与を検討したが,統合失調症の悪化が懸念された.2019年にわれわれが提唱したDiHS重症度スコアを用いて治療方針を検討したところ0点と軽症に分類され,安静と補液による保存的加療を選択した.その後,症状は軽快し第37病日に退院した.DiHSでは原因薬剤に向精神薬が多く,精神疾患を有する場合にステロイド使用の適応に苦慮する症例も多い.自験例から,DiHS重症度スコアを活用して治療選択することの有用性が改めて示された.

参考文献

1) Kano Y, et al:Br J Dermatol 155:301, 2006
2) 水川良子,塩原哲夫:日化療会誌 67:620, 2019
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7) Chi MH, et al:Br J Dermatol 170:866, 2014
8) Asano Y, et al:Arch Dermatol 145:1030, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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