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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻9号

2021年08月発行

症例報告

SLURP-1遺伝子変異を伴うMeleda病の日本人例

著者: 村岡響子1 原知之1 大橋理加1 辻岡馨1 金澤伸雄2 中野創3

所属機関: 1日本赤十字社和歌山医療センター皮膚科 2和歌山県立医科大学皮膚科 3弘前大学大学院医学研究科皮膚科

ページ範囲:P.687 - P.692

文献概要

要約 70歳台,女性.両親は血族結婚をしており,兄に同様の症状があった.小児期から手足に限局する角化性紅斑を自覚しており,さまざまな治療を受けたが,難治であった.初診時,浸軟し肥厚した黄白色の角質で覆われ,手掌足底を越えて手指背や足背,アキレス腱部にも拡がるびまん性紅斑を認めた.両側第5指DIP関節は屈曲拘縮をきたしていた.遺伝子検査でSLURP-1遺伝子に既知のミスセンス変異(c. 211C>T,p. R71C)のホモ接合が検出され,Meleda病と診断した.エトレチナートの内服により手掌足底の白色角化病変は改善した.従来,Meleda病はヨーロッパからの報告が中心であったが,最近東アジア諸国から遺伝子診断確定例が次々と報告されている.本邦では遺伝子診断で確定した症例はまだ少ないが,Meleda病は長島型掌蹠角化症に類似する点が多いため,これまで臨床的に誤診されていた症例もあると推測される.しかし,症状を注意深く観察すると,両者は十分鑑別可能であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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