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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻1号

2022年01月発行

文献概要

症例報告

初診時落葉状天疱瘡を考えた尋常性天疱瘡の1例

著者: 小林英資1 下田由莉江1 佐藤洋平1 早川順1 廣瀬美希2 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2防衛医科大学校皮膚科学教室

ページ範囲:P.19 - P.24

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要約 53歳,女性.2か月前から続く軀幹の皮疹を主訴に当科を紹介受診した.初診時,軀幹に約2cm大までの痂皮を付すびらん・紅斑が散在し臨床的には軽症の落葉状天疱瘡を考えたが,検査所見は尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris:PV)を示唆した.入院加療を勧めたが拒否され,通院が途絶えた.初診3年後,粘膜疹と全身のびらんが増悪し,他院を受診.ステロイド導入後も改善なく,当院へ転院.抗デスモグレイン(Dsg)1抗体優位の抗Dsg1,Dsg3抗体の上昇,病理組織学的および蛍光抗体直接法の所見から改めてPVと診断した.ステロイド,アザチオプリン治療開始するも,症状が遷延し,血漿交換と大量γグロブリン療法の追加にて,症状の改善が得られた.抗体プロファイルから病状の進行を予測し早期より積極的加療を勧めるべきであった.自験例は皮膚型PVから粘膜皮膚型PVへ移行し,治療介入が遅れたことにより難治となった可能性がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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