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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻1号

2022年01月発行

文献概要

症例報告

尋常性魚鱗癬を伴った連圏状粃糠疹の1例

著者: 大草健弘1 武井華子1 荻原麻里1 鈴木茉莉恵1 伊藤雄太1 大歳晋平1 中田土起丈1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院皮膚科

ページ範囲:P.33 - P.36

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要約 15歳,女児.家族歴として,父親は幼少時より極度の乾燥肌であった.現病歴は,約10年前から背部に黒褐色斑が多発し,夏季には不明であった.初診前の冬季に皮疹が増悪したため当科を受診した.腰背部と下腹部に指頭大から小児頭大までの類円形で環状を呈する淡黒褐色斑が多発し,表面はちり綿皺様でわずかな鱗屑の付着を伴っていた.組織像は,過角化,密な毛孔性角化を認め,顆粒層は菲薄化していた.以上より連圏状粃糠疹と診断した.同症は,①悪性腫瘍などの全身性消耗性疾患に随伴して発症する症候性,②若年者に遺伝性に発症する遺伝性,③遺伝性素因,基礎疾患のいずれもない特発性に分けられるが,自験例は父親の皮疹は確認できなかったが,初発年齢が5歳であったことから遺伝性と考えた.両下腿では粃糠様鱗屑を伴う皮膚の乾燥が認められ,尋常性魚鱗癬を併発していた.軀幹の連圏状粃糠疹,下腿の尋常性魚鱗癬ともに今後も経過観察が必要と考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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