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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻1号

2022年01月発行

文献概要

症例報告

高齢者の巨大先天性色素細胞母斑に生じた悪性黒色腫の1例

著者: 鈴木花瑠1 片桐正博1 小川晋司1 並木剛1 三浦圭子2 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 2東京医科歯科大学病理部

ページ範囲:P.43 - P.50

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要約 73歳,男性.生下時より左下腿に巨大黒褐色斑あり.20年前に黒褐色斑上に結節が生じ,初診6か月前より結節にびらんと出血を認め受診した.下腿の30×26cmの黒褐色斑内に3×2.5cmの脱色素斑を伴う淡褐色結節があり,全摘生検とセンチネルリンパ節生検を行った.病理は表皮から真皮中層にメラノーマ細胞が増殖し,真皮下層に母斑細胞を認めた.センチネルリンパ節生検は陰性でリンパ節転移,遠隔転移はなし.巨大先天性色素細胞母斑に生じた結節型黒色腫pT4bN0M0(Stage Ⅱc)と診断した.巨大先天性色素細胞母斑由来の悪性黒色腫は真皮の母斑細胞が悪性化し皮内結節を生じる特徴があり,自験例も合致した.巨大先天性色素細胞母斑に続発した悪性黒色腫の本邦報告例の発症年齢は,乳幼児期と壮年・老年の二峰性分布を示した.巨大先天性色素細胞母斑は定期観察と母斑に変化が生じた際の積極的な生検が推奨され,予防的切除も検討すべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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