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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻1号

2022年01月発行

文献概要

症例報告

BCG(Bacillus Calmette-Guerin)膀胱内注入療法後に発症した上腹部皮膚結核の1例

著者: 角田朝子1 雪野祐莉子1 矢富良寛1 小田俊輔1 川北梨乃1 西山徹2 入佐薫3 吉田哲也1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構東京医療センター皮膚科 2独立行政法人国立病院機構東京医療センター泌尿器科 3独立行政法人国立病院機構東京医療センター呼吸器内科

ページ範囲:P.73 - P.78

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要約 82歳,男性.表在性膀胱癌に対して経尿道的膀胱腫瘍切除術後,Bacillus Calmette-Guerin(BCG)(イムノブラダー®)膀胱内注入療法を施行した.3か月後から上腹部に腫瘤が出現し,病理組織学的に類上皮肉芽腫を認め,組織培養でMycobacterium tuberculosis complexが検出された.培養された菌種は遺伝子検査によりイムノブラダー®のウシ型結核であるMycobacterium bovis BCGに一致することが判明し,BCG膀胱内注入療法により発症した上腹部皮膚結核と診断した.標準的結核治療に準じて治療し創閉鎖を得た.今までに報告されたBCG膀胱内注入療法による皮膚結核は亀頭や陰茎に好発し,その多くは薬剤が皮膚に付着し直接浸潤した可能性を示唆している.自験例は上腹部と稀な部位であったが,患者が尿失禁状態であり,皮膚以外の臓器に病巣を認めなかったことから,手や洋服を介して皮膚へ直接感染した可能性を推測する.BCG膀胱内注入療法後に難治性の皮膚病変を認めた場合には皮膚結核も念頭に精査する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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