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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻1号

2022年01月発行

文献概要

症例報告

ミノサイクリンの内服と局所温熱療法で治癒した皮膚Mycobacterium marinum感染症の1例

著者: 山口礼門1 多賀史晃1 久保田佳子1 安澤数史1 八田順子1 望月隆1

所属機関: 1金沢医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.79 - P.83

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要約 74歳,男性.熱帯魚や爬虫類を飼育していた.初診の4か月前に右手背に小結節が出現し,次第に右前腕へ拡大した.右前腕の小結節からの皮膚生検組織では真皮に膿瘍と多核巨細胞を含む類上皮細胞性肉芽腫がみられた.膿汁および生検組織の抗酸菌培養では光照射により黄色に発色する遅発育性のコロニーが観察され,分離菌はMALDI-TOF MSによりMycobacterium marinumと判定された.ミノサイクリン200mg/日の内服と使い捨てカイロによる局所温熱療法を開始したところ結節は速やかに縮小し,8週間で治癒した.本症に対しては局所温熱療法が有効であることが知られているが,本邦での過去10年間の報告例38例のうち,本治療が施行された例はわずかに10例(26.3%)と実施率は低かった.局所温熱療法は本症に対する抗菌薬の投与期間を短縮し,かつ安全に行える治療法であるため,より積極的な併用が望まれる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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