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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻1号

2022年01月発行

文献概要

症例報告

左前腕に発症したFonsecaea monophoraによる黒色分芽菌症の1例

著者: 手塚純子1 浦田陽一郎1 楠葉展大1

所属機関: 1大津赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.85 - P.90

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要約 83歳,女性.左前腕の2cm大の結節を主訴に当科を受診した.病理組織検査にて真皮全層性の肉芽腫と肉芽腫内のmuriform cellを確認し,黒色分芽菌症と診断した.原因菌は菌体の分子生物学的解析によりFonsecaea monophoraと同定した.抗真菌薬の内服療法,冷凍凝固療法,温熱療法を行い,病変縮小後に切除術を施行した.術後3か月時点で臨床的に再発はない.黒色分芽菌症は鱗屑のKOH直接鏡検法で菌体を容易に確認することができるため,積極的にKOH直接鏡検を行い,皮膚生検により早期に診断することが重要である.切除可能な病変では外科的治療が第一選択となるが,切除範囲が広い場合,手術痕が整容面で問題となることがある.術前に抗真菌薬を投与することで,手術による侵襲,手術痕を軽減できると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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