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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻11号

2022年10月発行

症例報告

多彩な皮膚症状を呈した梅毒の1例

著者: 豊島芳江1 中村吏江1 坂本拓海1 望月満2

所属機関: 1呉医療センター・中国がんセンター皮膚科 2もちづき皮ふ科・アレルギー科

ページ範囲:P.925 - P.931

文献概要

要約 32歳,男性.初診2か月前より熱発,両下肢に浸潤を伴う紫斑が出現,IgA血管炎が疑われ止血剤内服にて症状は軽快したが,新たに頭部に膿疱,軀幹四肢に紅色皮疹,陰部から肛門周囲にびらんおよび潰瘍,下肢に紅色結節が生じ精査加療目的に当科紹介となった.全身のリンパ節腫脹があり悪性リンパ腫等を疑い皮膚生検,血液検査を施行した.TPLA,RPR定性ともに陽性であり第2期梅毒と診断した.治療はアモキシシリン内服8週間とした.治療開始1週間で皮疹は改善傾向となり,13週間後に一部色素沈着を残し消失した.治療開始前はRPR半定量128倍であったが,7週間後は64倍,14週間後は8倍と低下しており治癒と判断した.梅毒は多彩な皮膚症状を呈するため初見では他疾患との鑑別に苦慮する場合も多い.掌蹠の落屑や紅色小局面は第2期梅毒では出現頻度の高い皮疹であり診断の手助けとなりうる.

参考文献

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11) Suzuki Y, et al:JMA J 3:109, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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