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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻12号

2022年11月発行

症例報告

臨床的に悪性黒色腫と鑑別を要した手指爪部Bowen病の1例

著者: 加藤寿香1 志水陽介1 森須祥子1 三海瞳1 今井俊輔1 吉田憲司1 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.1015 - P.1019

文献概要

要約 39歳,男性.10年前より右中指の爪甲色素線条を自覚し,3か月前より幅が拡大したため当科を受診した.初診時,右中指爪甲に色調の濃淡を伴い最大幅4mmの基部が太い黒褐色色素線条がみられ,悪性黒色腫を疑い生検を施行した.病理組織学的に爪母上皮内に異型ケラチノサイトや核分裂像がみられBowen病と診断した.表皮内にはメラニン顆粒の増加を伴っていた.異型メラノサイトはみられず,S100蛋白・Melan-Aは異型細胞では陰性のため悪性黒色腫を否定した.爪部Bowen病では黒色調を呈するとともに,何らかの爪甲変形・破壊を伴うことが多いが,色素線条のみ呈する症例は稀である.自験例では縦走する白色領域があり,Bowen病に伴う所見である可能性があると考えた.爪甲色素線条をみた場合に悪性黒色腫のみならずBowen病も鑑別に挙げ,詳細に観察し,適切に組織診断を行うことが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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