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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻13号

2022年12月発行

文献概要

症例報告

初発症状から7年後にIgG4関連疾患の診断に至った1例

著者: 松山美江1 植田郁子12 谷崎英昭1

所属機関: 1関西医科大学皮膚科 2大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学教室

ページ範囲:P.1058 - P.1064

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要約 49歳,男性.初診の6年前に左下顎部に無痛性リンパ節腫脹が出現した.初診の2年前より左下顎部に紅斑が出現し,その後左耳前部や左頸部,体幹四肢にも拡大し当科を受診した.左下顎部の紅斑の皮膚生検では血管周囲性にリンパ球,形質細胞,好酸球からなる炎症細胞浸潤を認め,真皮に線維化を認めた.背部の紅斑の組織所見では左下顎部と比較し炎症細胞浸潤の程度は軽度であった.木村病を疑いステロイド外用を行ったが,皮疹の改善は乏しかった.その後両側涙腺・耳下腺腫脹,縦隔リンパ節腫脹と胸膜肥厚が出現し,血清IgG4の著明な上昇を認めた.初診時に行った皮膚生検組織でIgG4/IgG陽性細胞比を確認したところ50%以上で,IgG4関連疾患に伴う皮膚病変と診断した.IgG4関連疾患が疑われる症例では経時的に血清IgG4を測定し,血清IgG4の上昇がない症例でも組織学的にIgG4の染色を確認することが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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