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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻13号

2022年12月発行

文献概要

症例報告

Pseudoxanthoma elasticum-like papillary dermal elastolysisに多発稗粒腫を伴った1例

著者: 早川怜那1 木下美咲1 波田野冴佳1 下山田博明2 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2杏林大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.1071 - P.1075

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要約 85歳,女性.上半身の皮疹を主訴に受診した.初診時,頸部,上腕,腋窩に敷石状に集簇した常色丘疹よりなる局面と,その近傍に白色調の粟粒大丘疹が散在していた.両者をそれぞれ皮膚生検し,前者はpseudoxanthoma elasticum-like papillary dermal elastolysis(PXE-PDE),後者は稗粒腫と診断した.自験例は,PXE-PDEと稗粒腫を近接して認めたことが特徴的であった.何らかの基礎疾患に多発稗粒腫を合併した本邦報告例を渉猟した結果,13トリソミー,ダウン症候群などの先天性疾患を背景に生じた例や多発性汗管腫,transverse nasal creaseなどの限局性病変に近接して稗粒腫がみられた報告が確認された.これらから皮膚の先天的な脆弱性,周囲皮膚のひずみや凹凸が皮膚の陥入を助長し稗粒腫の形成に至るのではないかと考えた.自験例では,PXE-PDEの存在に加え,加齢による皮膚老化や日光弾性線維症,外的刺激が稗粒腫の形成に関与した可能性がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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