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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻13号

2022年12月発行

文献概要

症例報告

多発血管炎性肉芽腫症と診断されていたLL型ハンセン病の1例

著者: 今本聡美1 竹中祐子1 鈴木瑞穂1 廣瀬光2 針谷正祥2 小林正樹3 三上万理子14 山﨑正視5 石井則久5 石黒直子1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学分野 2東京女子医科大学膠原病リウマチ内科学分野 3東京女子医科大学脳神経内科学分野 4横浜西口菅原皮膚科 5国立療養所多磨全生園皮膚科

ページ範囲:P.1095 - P.1100

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要約 35歳,女性,ミャンマー出身.多発血管炎性肉芽腫症としてプレドニゾロン(PSL)20mg/日投与中,発熱,顔面や上肢の浸潤を触れる紅斑,右手指の感覚低下やしびれ,鼠径リンパ節腫大を生じた.生検像で,紅斑では真皮の神経や脂腺周囲に泡沫細胞の浸潤があり,鼠径リンパ節では濾胞構造が消失し,泡沫細胞の稠密な浸潤がみられた.共に抗酸菌染色陽性,PCR検査でMycobacterium leprae特異的DNAを検出した.LL型Hansen(ハンセン)病と診断し,PSL 30mg/日と多剤併用療法を開始した.PSL漸減中にリンパ節腫大と紅斑が再燃したため,サリドマイドを追加し,軽快がみられている.本症例は当初GPAを考え,後にハンセン病の診断に至った.発熱,多発性神経炎,病理組織所見での血管炎像,PR3-ANCA陽性がみられたが,これらはハンセン病に伴う症状や所見であった.上記の所見がみられ,ハンセン病流行地域の出身であれば,本症を鑑別に挙げて皮膚生検,皮膚スメア検査,PCR等を検討する必要がある.

参考文献

1) NIID国立感染症研究所:ハンセン病医療関係者向けhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/leprosy-m/1841-lrc/1707-expert.html, (参照2021-02-02)
2) 後藤正道,他:Jpn J Lepr 82:141, 2013
3) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,14巻,1版,中山書店,p153, 2003
4) 西口麻奈,他:日皮会誌 126:2433, 2016
5) Edington FL, et al:Clin Rheumatol 26:208, 2007
6) Andrade TCPC, et al:An Bras Dermatol 92:389, 2017
7) Kar HK, et al:Lepr India 55:725, 1983
8) 井関充及,他:病理と臨 4:1339, 1986
9) 杉浦典子,他:皮膚 42:430, 2000
10) 厚生労働省:044多発血管炎性肉芽腫症https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089937.pdf, (参照2022-02-17)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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