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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻13号

2022年12月発行

文献概要

症例報告

紅皮症を呈したLL型ハンセン病の1例

著者: 山岸大樹1 河合徹1 矢野優美子1 山﨑正視2 石井則久2 林剛生1 三井浩1

所属機関: 1東京逓信病院皮膚科 2国立療養所多磨全生園

ページ範囲:P.1101 - P.1106

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要約 51歳,女性,フィリピン出身.既往に2型糖尿病,高血圧症.初診の2年前から腹部の皮疹を自覚,次第に癒合しながら顔面にも拡大した.ステロイド外用を行っていたが改善しないため,当院を受診した.初診時,癒合傾向のある境界明瞭な紅斑が全身に及び,紅皮症を呈していた.病理組織学的には,真皮に乾酪壊死を伴わない肉芽腫が多数あり,泡沫状の組織球が散見された.真皮の間質と泡沫構造の粘液様空胞内に,Ziehl-Neelsen染色で弱陽性,Fite染色で陽性を示す抗酸菌が凝集していた.採取した組織のPCR法でMycobacterium lepraeが陽性であった.また,皮膚スメア検査で抗酸菌が強陽性,血清抗PGL-1抗体は512倍で陽性であった.以上より,紅皮症を呈したLL型ハンセン病と診断した.現在,リファンピシン,クロファジミン,ジアフェニルスルホンによる多剤併用療法を開始し経過を追っている.本症の流行地域から来日した外国人で紅皮症を呈する場合,鑑別診断にハンセン病を挙げる必要がある.

参考文献

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12) 水野雄貴,他:皮膚臨床 58:2027, 2016
13) 岩崎光順,他:皮膚臨床 26:964, 1984
14) 細川 篤,他:西日皮膚 63:353, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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