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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻2号

2022年02月発行

症例報告

成人発症の多発したtufted angiomaの1例

著者: 渡邉千夏1 本多教稔1 金澤早織1 福島聡1 尹浩信1

所属機関: 1熊本大学大学院皮膚病態治療再建学分野

ページ範囲:P.137 - P.140

文献概要

要約 42歳,女性.初診の6年前より有痛性の扁平に隆起した紫紅色局面が右足首両側に出現した.外用剤(詳細不明)で改善したが,1年前に同様の症状が再び出現した.その後,徐々に拡大したため前医受診し,皮膚生検にてtufted angiomaと診断された.ステロイド外用で改善がないため,加療目的で当科に紹介された.治療として電子線を10Gy/5回照射し,症状は消失した.外来受診時に新たに左足首に同様の皮疹が出現したが,ステロイド外用で改善した.Tufted angiomaは,その70%が1歳未満に発症するといわれる.成人発症は頻度が少なく,多発することも稀といわれている.治療は,経過観察,外科的切除,放射線治療,持続圧迫,ステロイド投与などがある.非ステロイド性抗炎症薬内服では疼痛コントロールが不良であったこと,自然消退する場合は1年以内のケースが多く経過の長い自験例は経過観察では改善が見込めないと思われたこと,手術は衛星病巣もあり範囲が広く再発リスクが高いこと,本人の手術の希望がなかったことから放射線治療を選択し,治療が奏効した.再発例も多いため,注意深く経過観察中である.

参考文献

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7) Kimura R, et al:JDermatol 44:e262, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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