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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻2号

2022年02月発行

症例報告

臍部に生じた子宮内膜症の2例—既報告例の統計学的解析を含めて

著者: 松井悠12 佐々木仁13 高塚純子1 竹之内辰也1

所属機関: 1新潟県立がんセンター新潟病院皮膚科 2富山大学大学院医学薬学研究部皮膚科学 3新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.141 - P.146

文献概要

要約 症例1:45歳,女性.初診1か月前より臍部に無症候性の紅褐色結節を自覚した.皮膚生検を行い,子宮内膜症と診断した.治療希望はなく,婦人科で経過観察中である.症例2:26歳,女性.初診8か月前に臍部下縁の暗赤色腫瘤を自覚した.尿膜管遺残の疑いで近医より紹介となり,皮膚生検の結果から子宮内膜症と診断した.ホルモン療法を開始し,腫瘤の増大はみられていない.子宮内膜症の臍部発生は1%程度と非常に稀であるが,女性の臍部に生ずる腫瘍の内で子宮内膜症は40%程度を占めるとされる.自覚症状を欠く場合はsilent typeと呼ばれ,月経周期に伴う特徴的な所見を欠き,診断には皮膚生検が必要である.病型の違いによる臨床,組織学的所見に統計学的有意差は認めなかったが,初診までの期間と腫瘤径の間には正相関を認めた.稀ながら悪性転化することからも女性の臍部腫瘤・結節性病変を診療する際には,早期の確定診断のためにも本疾患を念頭に置き,皮膚生検や画像検査を行う必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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