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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻2号

2022年02月発行

文献概要

症例報告

Helicobacter cinaediによる再発性蜂窩織炎の1例

著者: 岩本雄太郎1 野老翔雲1 並木剛1 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.153 - P.156

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要約 55歳,男性.既往に急性リンパ性白血病があり寛解状態だった.慢性C型肝炎の腹水コントロール目的に入院.入院中,右下腿の発赤腫脹が出現した.蜂窩織炎の診断でセフトリアキソン(CTRX)にて加療された.1か月後に同部位に蜂窩織炎が再燃した.血液培養検査では2回ともHelicobacter cinaediを検出した.感受性に基づき,イミペネム/シラスタチンで加療し改善したが,IPM/CS終了2日後に腹膜炎を発症した.各種培養検査は陰性だったがH. cinaediの関与も否定できずCTRXで腹膜炎治療後も予防的にミノサイクリン塩酸塩を1か月間追加投与し,再燃はみられていない.H. cinaediはグラム陰性らせん桿菌で,蜂窩織炎以外にも腸炎,関節炎,髄膜炎など他臓器の感染症を合併することもあるため注意が必要である.適切な抗菌薬の選択,投与期間は定まったものはない.現時点では血液培養での感受性を参考に抗菌薬を選択し,血液培養の陰性化を確認して1か月以上の長期にわたり抗菌薬を投与する必要があると考えた.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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