icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻2号

2022年02月発行

文献概要

症例報告

紅斑にタクロリムス軟膏が有効であった小児腹壁遠心性脂肪萎縮症の1例

著者: 真屋由佳1 松村若菜1 藤村悠1 清水聡子1

所属機関: 1市立札幌病院皮膚科

ページ範囲:P.181 - P.184

文献購入ページに移動
要約 3歳,男児.1歳6か月頃から下腹部の皮疹が出現し,おむつ皮膚炎として悪化時に副腎皮質ホルモン剤の軟膏外用で加療されていた.徐々に拡大したため当科を受診した.初診時,臍上部から両鼠径部にわたって辺縁に淡い紅斑を伴う皮膚陥凹を認めた.紅斑部からの皮膚生検では皮下脂肪織の減少と炎症細胞浸潤がみられた.特徴的な臨床所見および病理組織学的所見から小児腹壁遠心性脂肪萎縮症と診断した.副腎皮質ホルモン剤の外用では変化がみられなかったが,タクロリムス軟膏の外用を開始したところ,紅斑は部分的に軽快した.正常部を含めた3か所から皮膚生検を施行し,病理組織学的に検討した.紅斑部では脂肪織への炎症細胞浸潤が著明であり,早期に炎症を抑制することができれば病勢を抑えられる可能性が示唆された.副腎皮質ホルモン剤による加療で効果が得られない場合は,早期にタクロリムス軟膏も治療の選択肢として検討する必要がある.

参考文献

1) Imamura S, et al:Arch Dermatol 104:291, 1971
2) 今村貞夫:日皮会誌 108:1257, 1998
3) 花島麻紀,他:臨皮 59:42, 2005
4) 勝田倫江,他:臨皮 57:222, 2003
5) IkomaA, et al:J Dermatol 26:603, 1999
6) Hashizume H, Kageyama R:J Dermatol 44:e68, 2017
7) Sarpa HG, et al:J Cutan Pathol 35:971, 2008
8) 花見由華,山本俊幸:Derma 219:8, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?