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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻3号

2022年03月発行

文献概要

症例報告

再発時に生じた皮疹の生検により組織球性壊死性リンパ節炎と考えた1例

著者: 渡部桃子1 妹尾春佳1 山下彩1 大谷稔男1 中務治重2

所属機関: 1倉敷中央病院皮膚科 2水島中央病院内科

ページ範囲:P.214 - P.218

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要約 16歳,男性.2か月前に39℃の発熱と左頸部リンパ節の腫脹,腹痛,下痢を認め,近医内科を受診した.伝染性単核球症が疑われ,アセトアミノフェンを処方された.1週後には症状は消失したが,さらに2週後,発熱と左頸部リンパ節腫脹が再燃した.再びアセトアミノフェンを内服し,5日程度で治まった.その3週後,発熱を伴って体幹・四肢の紅斑がみられるようになったため,当院救急内科を受診し,当科に入院した.頸部リンパ節の腫脹は認めなかったが,CTで回結腸動脈リンパ節が腫大していた.紅斑の病理組織学的所見は,組織球性壊死性リンパ節炎(histiocytic necrotizing lymphadenitis:HNL)として矛盾しなかった.前医からの一連の症状もHNLによるものと考えた.HNLは再発時に初めて皮膚科を受診する可能性もある.再発時には,頸部リンパ節腫脹などの典型的所見がみられないこともあり,診断に際して留意する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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