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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻3号

2022年03月発行

文献概要

症例報告

右内頸静脈閉塞を合併した顔面有棘細胞癌の1例

著者: 中原智史1 梶原一亨1 尹浩信1

所属機関: 1熊本大学医学部皮膚科・形成再建科

ページ範囲:P.245 - P.250

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要約 83歳,女性.当院初診2か月前より右眉毛部に腫瘤を自覚,生検にて有棘細胞癌の診断となった.皮膚悪性腫瘍切除術を施行したが,術後4か月頃より局所再発し,右耳介周囲から頸部にかけてリンパ節転移を認めた.同時に右顔面浮腫が出現し,CTにて腫瘍による右内頸静脈の圧迫および閉塞を認めた.内頸静脈への腫瘍浸潤の可能性,高齢でありperformance status(PS)が低下していたこと,および予後改善の見込みが低いことから手術療法や化学療法は施行しなかった.右顔面から頸部へ姑息的放射線照射療法を施行し,局所再発部やリンパ節転移巣の縮小および顔面浮腫・疼痛の軽減が得られ,症状緩和に至った.内頸静脈閉塞を合併した皮膚悪性腫瘍はきわめて稀であり,侵襲的治療が困難な症例においては症状緩和を目的とした放射線療法が有効であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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