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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻3号

2022年03月発行

文献概要

症例報告

手指に生じた低分化型syringomatous carcinomaの1例

著者: 角田梨沙1 亀谷葉子2 矢澤真樹3 安西秀美2

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2川崎市立井田病院皮膚科 3慶應義塾大学医学部形成外科学教室

ページ範囲:P.251 - P.256

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要約 88歳,男性.半年前からの手指紅色腫瘤を主訴に当院受診した.初診時,後爪郭に表面湿潤した隆起性紅色腫瘤を認めた.下床との可動性不良で,爪甲の破壊を伴った.組織像では,表皮は壊死し,表皮直下から皮下組織に腫瘍細胞が管腔構造を伴いながら胞巣形成し,骨皮質や指腹側まで浸潤性に増殖していた.腫瘍細胞は異型性が目立ち,免疫染色でCK7とc-kitが部分的に陽性,EMAとCEAが管腔側で陽性,CK20,GCDFP-15は陰性だった.全身検索で明らかな他臓器病変は確認されず,他の皮膚原発の汗腺・汗管系腫瘍を組織所見で除外し,低分化型syringomatous carcinomaと診断した.本症はアポクリン分化のない汗管系悪性腫瘍と総括され,低分化型の組織像は特に多様性に富み,診断困難なことが多い.自験例のような低分化型SCはリンパ節・他臓器転移の報告も比較的多く,分化度を含めた診断が重要と考えた.

参考文献

1) Abenoza P & Ackerman AB:Neoplasms with eccrine differentiation, Lea & Febiger, Philadelphia, p371, 1990
2) Patterson JW & Wick MR:Atlas of tumor Pathology series 4, AFIP, Washington, p137, 2006
3) Elder DE, et al:WHO classification of skin tumors, IARC press, Lyon, p153, 2018
4) 泉 美貴:診断病理 36:162, 2019
5) Eduardo C, et al:McKee's Pathology of the Skin, vol.2, Elsevier, p1665, 2019
6) 大塚 壽:Skin Surg 22:133, 2013
7) Gupta S, et al:World Neurosurg 138:e17, 2020
8) 若林麻記子,他:臨皮 61:838, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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