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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻3号

2022年03月発行

文献概要

症例報告

シクロホスファミド間欠静注療法が著効した難治性壊疽性膿皮症の1例

著者: 黒沼亜美1 志水陽介1 青木周平1 森須祥子1 加藤寿香1 三海瞳1 今井俊輔1 市村知佳2 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座 2池上総合病院皮膚科

ページ範囲:P.275 - P.280

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要約 55歳,男性.3か月前に右下腿内顆に1cm大のびらんが出現したため紹介医を受診した.受診時,右下腿内顆に堤防状に隆起する壊死組織が固着した疼痛を伴う潰瘍があった.前医で生検施行後,潰瘍が急速に拡大したため精査加療目的に当院を紹介され受診した.病理組織像では真皮全層に好中球を主体とする炎症細胞浸潤があり,臨床経過および組織学的所見から壊疽性膿皮症と診断した.炎症性腸疾患や血液・造血系疾患の基礎疾患はなかった.ステロイドパルス療法,プレドニゾロン1mg/kg/日内服で改善せず,シクロスポリンを導入したが肝腎機能障害が生じ継続困難となった.長期のステロイド全身投与による肺炎,圧迫骨折を併発し,その後も潰瘍は拡大したためシクロホスファミド間欠静注療法を施行したところ潰瘍は急速に縮小した.壊疽性膿皮症に対するシクロホスファミド間欠静注療法の使用については,海外で有効例が少数散見されており,治療選択肢の1つとなりうると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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