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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻4号

2022年04月発行

文献概要

症例報告

来日外国人女性に生じた皮膚腺病の1例

著者: 櫻田芙美1 河野秀郎1 夏秋洋平1 上村知子2 名嘉眞武国3

所属機関: 1公立八女総合病院皮膚科 2公立八女総合病院呼吸器内科 3久留米大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.358 - P.362

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要約 46歳,女性,フィリピン人.1か月前に出現した左鎖骨上窩から頸部にかけての熱感,発赤,腫脹を伴う皮下腫瘤を主訴に当科を受診した.エコー検査で同部位に膿瘍形成を認めたため皮膚生検を施行し,膿汁と皮膚を各種培養,遺伝子検査(PCR)に提出したところ結核菌が同定された.病理組織所見では,真皮内に形質細胞,リンパ球,好中球,好酸球を含む多彩な炎症細胞浸潤と真皮深層に乾酪壊死を認めた.血液検査所見では結核菌特異的インターフェロン-γ産生が陽性であり,皮膚腺病と診断した.胸部CT検査を施行したところ右上葉S2,左下葉S6に結節影を認め,肺結核を合併していた.喀痰培養からは抗酸菌陰性であり,隔離は行わずにピラジナミド,イソニアジド,リファンピシン内服で加療開始した.眼科受診後からエタンブトール投与も開始する予定であったが,受診が途絶えその後の経過は不明である.自験例のように来日した外国人における皮膚結核は今後も増加する可能性があり,皮下腫瘍や皮膚潰瘍を診察する際は皮膚結核も鑑別に挙げ培養検査を検討すべきであると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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