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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻4号

2022年04月発行

症例報告

肛門周囲潰瘍よりサイトメガロウイルス感染症による小腸穿孔と診断した後に下肢深部静脈血栓症を発症した1例

著者: 影治里穂1 飛田泰斗史1 竹内大平2 富林敦司2 来島敦史3

所属機関: 1徳島赤十字病院皮膚科 2徳島赤十字病院外科 3徳島赤十字病院心臓血管外科

ページ範囲:P.375 - P.379

文献概要

要約 66歳,女性.Castleman病にてプレドニゾロン7.5mg/日内服中で,末期腎不全にて血液透析も受けていた.来院3日前より腹痛があり,前医の腹部CTで消化管穿孔を認め,当院に紹介された.緊急手術にて小腸穿孔が確認され,小腸部分切除術が施行された.両足背と肛門周囲に潰瘍を認め当科に紹介された.皮膚生検等よりサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染症と診断した.ガンシクロビルを開始したが,術後24日目に両下肢深部静脈血栓症を発症した.自験例はCMV感染症に伴う肛門周囲潰瘍,小腸穿孔,下肢深部静脈血栓症を合併した稀な症例であった.免疫抑制状態での肛門周囲潰瘍を診たときには,CMV感染症を考える必要がある.また,深部静脈血栓症の発症にも注意する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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