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増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022 1.最近話題の皮膚疾患
Palmar fasciitis and polyarthritis syndrome
著者: 佐藤篤子1 小宮根真弓1
所属機関: 1自治医科大学医学部皮膚科学講座
ページ範囲:P.32 - P.37
文献購入ページに移動Palmar fasciitis and polyarthritis syndrome(PFPAS)は,両手掌の筋膜炎,手指の屈曲拘縮と多関節炎を引き起こす疾患であり,paraneoplastic rheumatic syndrome(PRS:リウマチ様の症状を引き起こす腫瘍随伴症候群)の1つである.左右対称性に両手掌が急速に疼痛を伴って腫脹し,手掌筋膜の炎症が起こり,さらに進行すると,手関節屈側から手掌にかけて,筋膜および皮下組織が厚く腫脹,硬化し,その結果,手のひらが木のように固くなり,屈曲拘縮する.この特徴的な手の所見は,woody handsと呼ばれている.さらに,手指や肩などに多関節炎を引き起こす.PFPASは,女性に多く(男性の約4倍),症状が出現して半年以内に悪性腫瘍(卵巣癌が多い)の合併が見つかることが多いため,悪性腫瘍の検索が大変重要である.自験例では胃癌治療後にもかかわらず両手掌,手指の腫脹と疼痛,関節拘縮,多関節痛が出現し診断に至った.皮膚科ではまだ認知度が低く,PFPASという疾患概念を多くの医師が知ることで,日常診療の一助になると考える.
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