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増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022 2.皮膚疾患の病態
高脂肪食と脱毛
著者: 森永浩伸12 西村栄美2
所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野 2東京大学医科学研究所老化再生生物学分野
ページ範囲:P.49 - P.54
文献購入ページに移動日々の食習慣が脱毛症の発症や進行に関わりうることが認識されながらも,そのエビデンス,因果関係,さらにメカニズムは長らく不明であった.われわれは野生型マウスにおいて脱毛を促進する環境因子ならびに遺伝因子を探索し,高脂肪食または遺伝性肥満によって成長期の毛包において毛包幹細胞が鱗屑や脂腺細胞となって枯渇が進み,これによって毛包の矮小化と脱毛を促進することを見出した.幹細胞内において,活性酸素の産生,脂肪滴の蓄積,ならびに炎症性サイトカインシグナルの亢進を認め,毛包の周期的再生に重要なsonic hedgehog(Shh)シグナルを強力に抑制することが明らかとなった.本総説では,生理的な加齢による毛包幹細胞の枯渇や脱毛のメカニズムと比較しながら,高脂肪食が脱毛症を促進する仕組みについて解説し,議論する.
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