文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022
4.皮膚疾患治療のポイント
小児爪甲色素線条60例の自然経過—Wait & seeでよいのか?
著者: 松井悠1 竹之内辰也2
所属機関: 1富山大学学術研究部医学系皮膚科学講座 2新潟県立がんセンター新潟病院皮膚科
ページ範囲:P.104 - P.108
文献概要
小児爪甲色素線条(longitudinal melanonychia:LM)はwait & seeが基本的な診療方針とされているが,長期的な自然経過に言及した報告は少ない.小児LMの臨床的特徴と動態を検証するために,1989〜2020年に経験した60例の小児LMを対象に後ろ向き観察研究を行った.男27例,女33例,発症時年齢中央値4.5歳(0〜14歳),初診時年齢中央値8歳(0〜21歳)で,部位は手指が6割強を占めた.LMの活動性指標として爪甲最大幅に対する線条幅割合を計測し,その進行・停滞および減少までの時間をKaplan-Meier法で算出した.観察期間中央値29.5か月(0〜165か月)において8割以上の症例で線条幅割合の停滞や減少がみられた.半数は1年までに増大が停止し,約6年までには減少に転じた.経過上悪性化例はなく,小児LMにおけるwait & see policyは妥当と思われた.
参考文献
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