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Derm.2022
医薬品医療機器総合機構で新薬審査業務に携わるようになって6年目の雑感
著者: 種瀬啓士1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.109 - P.109
文献購入ページに移動 医薬品医療機器総合機構(Pharmaceutical and Medical Devices Agency:PMDA)で新薬審査を中心とした薬事関連の業務に携わるようになったのが2016年春.以来,常勤職員として3年間勤務し,その後も週に一度の非常勤職員として勤務を継続している.当初はどのような仕事をしている組織なのかも十分に把握しないままに入職したが,5年以上が経過した現在,薬事の基本的な考え方をある程度は理解できるようになった.折しも皮膚科領域の新薬開発ラッシュの最中で仕事をさせていただき,自分自身が治験相談や審査に携わって承認された皮膚科関連の新薬・効能追加薬の数は50に迫っている.短期間でこれだけ多くの新薬開発の舞台裏を見せていただけていることを幸運に思うのと同時に,それらの薬剤がもたらした皮膚科医療の変化の大きさにも驚いている.自分自身が携わった品目の中でも,治験相談と新薬審査の両方に関わった品目が薬剤として承認されることには特に感慨深さを覚える.薬剤開発は平均10年を要する一大事業であり,臨床試験の立案から結果の取りまとめだけをとっても数年の期間を要するため,同じ開発品目の治験相談と承認審査の両者に携わる機会を得るには最低3年の在籍が必要となる.自分自身にとってそのような品目が薬剤として承認されるようになったのはやはりここ2年のことであるが,有効性の結果が治験開始前の試験プロトコールの相談の際に予想していたもの以上であることもあれば,以下である場合もあり,新薬開発の奥深さを感じる機会となっている.また,自分が審査や治験相談に携わった薬剤を一皮膚科医として実際に患者さんに投与する機会も増えてきた.それらがPMDAでの審査業務の際に見たとおりの有効性や忍容性を発揮してくれたときはやはり嬉しいと感じる.このような新薬達が今後どのように育薬されていくのか.自分自身も,投与した患者さんの声を聞きながら楽しみに見守っていきたいと思っている.
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