文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022
4.皮膚疾患治療のポイント
栄養障害型表皮水疱症に対する再生誘導医薬レダセムチドの作用機序と治療効果
著者: 玉井克人1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科再生誘導医学寄附講座
ページ範囲:P.135 - P.138
文献概要
劣性栄養障害型表皮水疱症患者皮膚は,生直後から繰り返す基底膜直下での表皮剝離とその後に生じる真皮の瘢痕形成により,表皮幹細胞とそのニッチ形成に重要な真皮間葉系細胞を次第に喪失する.しかし,劣性栄養障害型表皮水疱症患者皮膚は剥離表皮再生能を維持しているという臨床的観察事実から,生体内における表皮幹細胞およびそのニッチの再生誘導機序の存在を仮説してその解明研究を進めた結果,剝離表皮内壊死組織から放出される核蛋白HMGB1(high mobility group box 1)による骨髄間葉系幹細胞動員機序の存在が明らかとなった.これら皮膚科学的基礎研究成果を基に,HMGB1の活性ドメインペプチドを利用した組織幹細胞およびそのニッチ組織の再生誘導効果を薬理作用に持つ「再生誘導医薬」レダセムチドの開発が進められている.既に栄養障害型表皮水疱症および急性脳梗塞に対する第II相臨床試験が終了し,肝硬変,変形性膝関節症に対する第II相臨床試験が進行中である.
参考文献
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