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増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022 5.皮膚科医のための臨床トピックス
JAK阻害薬と帯状疱疹
著者: 今福信一1
所属機関: 1福岡大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.161 - P.163
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ヤヌスキナーゼ(Janus kinase:JAK)は,サイトカイン受容体の細胞内ドメインに存在するチロシンキナーゼで,4種類の分子がありその阻害は関節リウマチ,潰瘍性大腸炎,乾癬性関節炎,アトピー性皮膚炎など幅広い疾患に治療効果がみられる.本邦では現在までに6種類の内服JAK阻害薬(JAKi)が承認されている.JAKiはいずれも帯状疱疹の頻度を数倍から数十倍に高めることが知られている.帯状疱疹は50歳以上,女性,免疫不全や免疫抑制治療者に多いが,JAKiによって発症する帯状疱疹はその他に人種(欧米に少なく日本人は最も多い),帯状疱疹の既往歴のある患者により多く発症する,などのリスク因子が知られている.JAKi投与中の帯状疱疹も早期の抗ウイルス薬投与が治療の原則となるが,抗ウイルス薬投与期間中のJAKiを継続するか中止すべきかは合意はない.JAKi投与中に帯状疱疹のワクチンを用いる場合は生ワクチンは禁忌であり,成分ワクチンであるシングリックス®を用いる.
ヤヌスキナーゼ(Janus kinase:JAK)は,サイトカイン受容体の細胞内ドメインに存在するチロシンキナーゼで,4種類の分子がありその阻害は関節リウマチ,潰瘍性大腸炎,乾癬性関節炎,アトピー性皮膚炎など幅広い疾患に治療効果がみられる.本邦では現在までに6種類の内服JAK阻害薬(JAKi)が承認されている.JAKiはいずれも帯状疱疹の頻度を数倍から数十倍に高めることが知られている.帯状疱疹は50歳以上,女性,免疫不全や免疫抑制治療者に多いが,JAKiによって発症する帯状疱疹はその他に人種(欧米に少なく日本人は最も多い),帯状疱疹の既往歴のある患者により多く発症する,などのリスク因子が知られている.JAKi投与中の帯状疱疹も早期の抗ウイルス薬投与が治療の原則となるが,抗ウイルス薬投与期間中のJAKiを継続するか中止すべきかは合意はない.JAKi投与中に帯状疱疹のワクチンを用いる場合は生ワクチンは禁忌であり,成分ワクチンであるシングリックス®を用いる.
参考文献
1) 今福信一,羽廣克嘉:Prog Med 41:739, 2021
2) Imafuku S, et al:J Dermatol 47:236, 2020
3) Bing N, et al:Arthritis Rheumatol 73:1155, 2021
4) Yamanaka H, et al:Arthritis Res Ther 18:34, 2016
5) Harigai M, et al:Mod Rheumatol 30:36, 2020
6) Kameda H, et al:Arthritis Res Ther 23:9, 2021
7) Tanaka Y, et al:Ann Rheum Dis 78:1320, 2019
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