文献詳細
文献概要
Derm.2022
疫病今昔
著者: 野村尚史1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科難病創薬産学共同研究講座皮膚科
ページ範囲:P.170 - P.170
文献購入ページに移動 藤原道長(西暦966〜1027年)が,998年から1021年まで断続的につけた日記は,御堂関白記と称される.この自筆本が,京都市右京区にある陽明文庫に現存する.自筆部分が少なからず含まれる巻物が,国内外の度重なる危機を乗り越え,一千年以上守り伝えられているという奇跡的事実に,驚きを禁じえない.
今に伝わる最も古い道長の自筆は,998年7月5日辛酉の記録で,「相撲の中止,仁王経の転読,大祓の実施」が記されている.当時,人々は疫病に悩まされていた.これらは,当時の朝廷にできた精一杯の疫病対策である.相撲の中止は理にかなっているが,結論に至るまで,侃侃諤諤の様相だったろう.
今に伝わる最も古い道長の自筆は,998年7月5日辛酉の記録で,「相撲の中止,仁王経の転読,大祓の実施」が記されている.当時,人々は疫病に悩まされていた.これらは,当時の朝廷にできた精一杯の疫病対策である.相撲の中止は理にかなっているが,結論に至るまで,侃侃諤諤の様相だったろう.
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