文献詳細
文献概要
増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022 5.皮膚科医のための臨床トピックス
日本人における乳児血管腫のリスクファクター
著者: 三澤恵1 清水忠道1
所属機関: 1富山大学学術研究部医学系皮膚科学講座
ページ範囲:P.171 - P.173
文献購入ページに移動乳児血管腫の有病率は海外の報告では約4.5%であり,発症には低出生体重など複数の要因との関連が指摘されている.われわれは「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用いて,日本人における乳児血管腫の有病率と発症に関連する要因について調査を行った.産後1年目に実施した質問票調査にて85,244人のうち613人が乳児血管腫を有しており,有病率は0.72%であった.日本の乳児血管腫の有病率は他国と比較して低いと推察された.また,乳児血管腫の発症と関連する要因として女児,生殖補助医療の実施,在胎週数に加え,本研究で新たに母親の花粉症・アレルギー性結膜炎が示唆された.乳児血管腫の発症は,血管新生を誘発する低酸素ストレスや胎児期の血中レニン濃度の上昇が関与すると考えられている.母親の花粉症・アレルギー性結膜炎と乳児血管腫発症の関連は低酸素ストレスでは説明できず,今後更なる研究が必要である.
参考文献
掲載誌情報