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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻6号

2022年05月発行

文献概要

症例報告

筋線維にミクソウイルス耐性蛋白質Aの発現を確認した皮膚筋炎の1例

著者: 勝尾公祐1 八木洋輔1 吉田康幸1 桒井匠1 高木あかり2 高野誠一郎2 大越忠和3 西野一三4 市村裕輝5 沖山奈緒子5

所属機関: 1福井赤十字病院皮膚科 2福井赤十字病院神経内科 3福井赤十字病院病理診断科 4国立精神・神経医療研究センターメディカル・ゲノムセンターゲノム診療開発部 5筑波大学医学医療系皮膚科

ページ範囲:P.409 - P.414

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要約 75歳,女性.初診1か月前から体幹・四肢に淡紅色の丘疹・浮腫性紅斑が出現し筋力低下を感じていた.CK上昇と筋炎を示すMRI所見より皮膚筋炎を考えたが,Gottron徴候やヘリオトロープ疹などの特徴的な皮疹はなく,筋炎特異的自己抗体も陰性であった.皮膚生検組織で真皮浅層の炎症細胞浸潤や表皮真皮接合部の液状変性がみられ,皮膚筋炎として矛盾しないものの,特異性に乏しかった.筋生検組織で炎症細胞浸潤や筋線維萎縮は認めなかったが,抗ミクソウイルス耐性蛋白質A(myxovirus resistance protein A:MxA)抗体を用いた免疫染色が陽性であり,皮膚筋炎と診断した.MxAはⅠ型インターフェロンによって誘導される蛋白質の1つで,筋線維のMxA発現は皮膚筋炎に特異性が高い.診断に苦慮する症例ではMxAに対する免疫染色を積極的に検討すべきと考えた.

参考文献

1) 沖山奈緒子:日皮会誌 130:2535, 2020
2) Liao AP, et al:Ann Rheum Dis 70:831, 2011
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7) Greenberg SA, et al:Ann Neurol 57:664, 2005
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9) Inoue M, et al:Neuropathol Appl Neurobiol 45:523, 2019
10) Okiyama N, et al:JAMA Dermatol 155:1080, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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