icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻6号

2022年05月発行

文献概要

症例報告

Moulin型線状皮膚萎縮症の1例

著者: 大竹里奈1 加藤恒平1 三浦圭子2 並木剛1 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部附属病院皮膚科 2東京医科歯科大学医学部附属病院病理診断科

ページ範囲:P.432 - P.437

文献購入ページに移動
要約 37歳,女性.約5年前に左下腿に褐色斑が出現.徐々に左上肢や左腹部などの左半身に増数し,当科へ紹介された.左半身のBlaschko線に一致して中央が陥凹する大豆大からくるみ大までの楕円形の褐色斑が多発していた.病理組織では陥凹部での真皮の菲薄化を認めた.血液検査では各種自己抗体は陰性であった.Moulin型線状皮膚萎縮症,Pasini-Pierini型進行性特発性皮膚萎縮症,モルフェアが鑑別となったが,臨床像で硬化を認めなかったことと片側性でBlaschko線に沿っていたことから総合的にMoulin型線状皮膚萎縮症と診断した.Moulin型線状皮膚萎縮症の報告は本邦では少なく,病理像で病変部と健常部との境界において急峻な陥凹所見を確認した報告はない.陥凹部辺縁から紡錘形に生検し長軸で病変部と健常部の弾性線維の性状や膠原線維間の変化を確認することはモルフェアとの鑑別に役立つと考えた.

参考文献

1) Moulin G, et al:Ann Dermatol Venereol 119:729, 1992
2) 渡会 晃,他:皮膚病診療 36:597, 2014
3) 黒田瑛里,他:皮膚臨床 61:361, 2019
4) 渡会 晃,他:日皮会誌 125:1274, 2015
5) Norisugi O, et al:J Am Acad Dermatol 65:232, 2011
6) Oiso N, et al:J Dermatol 39:1097, 2012
7) Browne C, Fisher BK:Int J Dermatol 39:850, 2000
8) Villani AP, et al:Dermatology 227:5, 2013
9) Pullara TJ et al:Int J Dermatol 23:643, 1984
10) Saleh Z, et al:J Cutan Pathol 35:1108, 2008
11) Canizares O, et al:AMA Arch Derm 77:42, 1958
12) Sehgal VN, et al:Int J Dermatol 41:467, 2002
13) de Golian E, et al:Pediatr Dermatol 31:373, 2014
14) Kencka D, et al:Dermatology 190:203, 1995
15) Vieira-Damiani G, et al:J Am Acad Dermatol 77:930, 2017
16) 樋上 敦,他:皮の科 11:68, 2012
17) Yokoyama Y, et al:Clin Exp Dermatol 25:436, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?