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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻6号

2022年05月発行

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あとがき フリーアクセス

著者: 石河晃

ページ範囲:P.478 - P.478

文献概要

 2022年4月10日,ロッテの佐々木朗希投手がプロ野球史上16人目,23年ぶりとなる完全試合の快挙を成し遂げました.しかも13者連続奪三振,1試合19奪三振の日本記録つきでした.のべ27人の打者のうち8人しかフェアゾーンに打球を飛ばせなかったわけで,野手の守備機会も少なく,まさしく投手一人で成し遂げた偉業と言えると思います.さらに驚くべきはその1週間後,次の登板においても8回まで一人のランナーも出さず,もう少しで2試合連続の完全試合となる完璧なピッチングをしたことです.完全試合を2度達成した選手は世界でも一人もおらず,研究者でいえば2年連続でノーベル賞を受賞するようなものです.この試合は味方も得点できず,0対0のまま9回を迎えたのですが,井口監督は投手の交代を告げました.試合に勝たなければ完全試合と呼ばれることはなく,結局延長10回で相手チームの本塁打で敗北しましたので,結果的には続投していても完全試合達成は難しかったかもしれません.この選手交代に関して,野球解説者や引退した有名選手のほとんどは監督の判断を賞賛しています.選手の疲労,肩の消耗を考えれば仕方がないということです.佐々木投手本人も納得の上での降板,という報道をみて,ファンも納得したかもしれません.しかし,もし,自分が投手だったら,世界で誰も成し遂げたことがない大記録を前にマウンドから去ることができたでしょうか.もし自分が監督だったら,投手に降板を指示する自信は全くありません.私個人的には試合の勝敗を重視するとしてもその試合は佐々木選手に託して良いと思いましたし,野球生命を重視するなら人生の価値観は本人が決めるべきだと思いました.野球素人には,とても理解の難しい選択でした.皆さんが監督だったらどうしていますか?

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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