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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻7号

2022年06月発行

症例報告

直接作用型抗ウイルス薬でウイルス陰性化が得られるとともにC型肝炎ウイルス関連クリオグロブリン血症性血管炎も軽快した1例

著者: 小松成綱1 梅影香央里2 野崎尋意1 長谷部拓夢3 橋本喜夫1

所属機関: 1旭川厚生病院皮膚科 2旭川医科大学医学部皮膚科学講座 3旭川医科大学病院消化器内科

ページ範囲:P.497 - P.502

文献概要

要約 71歳,女性.1年ほど前からRaynaud症状を自覚していた.10日前から手指足趾の色調変化と疼痛が出現し,近医を受診し当科へ紹介された.複数の手指足趾に紫紅色斑がみられ,両下腿に網状皮斑を伴っていた.網状皮斑部の生検で皮下小動脈の壊死性血管炎を認め,血液検査でクリオグロブリンを検出した.C型肝炎ウイルスキャリアであることが判明し,直接作用型抗ウイルス薬であるレジパスビル・ソホスブビル配合剤の投与を行い,ウイルスの陰性化を得た.その後クリオグロブリンも陰転化し,さらに2年間経過観察したが,クリオグロブリンは再検出されず,血管炎も再燃しなかった.C型肝炎ウイルスの関連が疑われるクリオグロブリン血症性血管炎では,積極的な抗ウイルス療法の導入が血管炎の改善に寄与すると考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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