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症例報告
Pencil-core granulomaの2例
著者: 齋藤京1
所属機関: 1さいたま市立病院皮膚科
ページ範囲:P.539 - P.544
文献購入ページに移動要約 症例1:73歳,女性.40歳のとき左拇趾先端の5mmの結節を自覚し,20年後急速増大した.生検時,ヘドロ状の黒色物質の排出があり,病理組織学的に黒色顆粒状の異物を伴う肉芽腫を認め本症と診断した.症例2:50歳,女性.右示指爪上皮部に小学生時に鉛筆を刺した.6mm大で変化がなかったが,1年前から増大した.ダーモスコピー所見では境界不明瞭に中枢側は白色,遠位側は濃淡のある青色領域を示し,病理組織では黒色異物を伴う肉芽腫のほか,顆粒状および塊状の石灰沈着を伴っていた.本症は鉛筆の芯の黒鉛に対する異物肉芽腫であり,潜伏期を経て急速に増大する特徴がある.症例1は生検後13年間治療なしでも増大はなく,本症の治療に可及的な内容排出のみで観察するという選択肢があることが示唆された.また,本症に石灰沈着を伴うことが稀にある.今回の症例2を加えた過去の報告8例は全員が女性の手に発症しており,手指のような外的な刺激が加わる部位に生じやすいと推察される.
参考文献
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