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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻7号

2022年06月発行

文献概要

症例報告

乳房に生じた壊疽性膿皮症の1例

著者: 酒井あゆみ1 堀田亜紗1 佐藤麻起1 大須賀裕子1 田中理子1 廣門未知子1

所属機関: 1横浜南共済病院皮膚科

ページ範囲:P.557 - P.561

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要約 52歳,女性.特記すべき既往歴や乳房への外傷・手術歴なし.初診の3週間前より誘因なく左乳房が腫脹し,抗菌薬を投与されていたが急速に潰瘍化したため当科を受診した.初診時,左乳房全体に発赤,腫脹を認め,乳房の下半分は潰瘍化していた.各種培養は陰性で,皮膚生検では真皮に血管炎を伴わないびまん性の好中球浸潤を認めた.ステロイド内服・外用により潰瘍は上皮化した.上皮化後,タクロリムス軟膏外用を併用しながら再燃なくステロイド漸減中である.壊疽性膿皮症が乳房に生じることは稀であるが,文献では乳房の壊疽性膿皮症は乳房の術後に生じることが多く,また乳頭を避けて潰瘍を形成するという特徴的な臨床像を示すと報告されている.これらは乳房の潰瘍病変について他疾患と鑑別する際に重要なポイントとなると考えた.

参考文献

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11) Pitarch G, et al:Acta Derm Vernereol 86:64, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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