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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻8号

2022年07月発行

症例報告

腫瘤型毛母腫の2例—毛母腫のダーモスコピー所見についての考察を加えて

著者: 上村杏奈1 村上拓生1 柳澤宏人1 常深祐一郎1 土田哲也1 中村晃一郎1

所属機関: 1埼玉医科大学皮膚科

ページ範囲:P.593 - P.598

文献概要

要約 毛母腫は,正常表皮に被覆された骨様硬に触れる結節としてみられることが多いが,時に特異な臨床像を呈する.今回,臨床的に腫瘤を形成し,ダーモスコピーで多彩な所見がみられた毛母腫の2例を経験した.症例1は76歳男性,症例2は53歳女性で2例とも顔面に生じ腫瘤を形成していた.ダーモスコピーでは,黄白色構造,不正な白色線条,多様な血管所見,赤青色調均一領域,潰瘍などの所見がみられた.それらの所見と病理組織所見を比較した結果,黄白色構造は陰影細胞を反映していると考えた.さらに当科で過去3年間のダーモスコピー所見のある毛母腫を振り返ったところ,11例中9例で黄白色構造がみられ,最も多い所見であった.ダーモスコピーでみられる黄白色構造は,特異な臨床像を呈する毛母腫の診断の手掛かりになりうると考えた.

参考文献

1) 玉置邦彦(編):最新皮膚科学大系,12巻,中山書店,p128, 2002
2) 赤尾明俊,他:臨皮 41:1001, 1987
3) 木花 光,他:臨皮 54:435, 2000
4) 稲田めぐみ,他:臨皮 50:73, 1996
5) 溝手美華,他:西日皮膚 77:131, 2015
6) 苅谷嘉之,他:西日皮膚 79:246, 2017
7) Zaballos P, et al:Dermatology 217:225, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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