icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻8号

2022年07月発行

文献概要

症例報告

再発を繰り返した古典的Kaposi肉腫の1例

著者: 中嶋悠里1 伏間江貴之1 天谷雅行1 大内健嗣1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.637 - P.641

文献購入ページに移動
要約 66歳,男性,九州地方出身.初診1か月前より右大腿伸側に米粒大の褐色丘疹を自覚し当科を受診した.切除生検の病理組織で,真皮内に異型の乏しい紡錘形細胞が増生し境界明瞭な結節を形成,結節内部には未熟な血管増生を伴っていた.腫瘍細胞はERG,CD31,CD34,D2-40,HHV-8 LANA-1が陽性であった.血中抗HIV抗体陰性で,基礎疾患や免疫抑制剤の使用歴なく,古典的Kaposi肉腫と診断した.外科的切除施行後2年で左大腿に急速に増大する褐色の皮膚結節が出現.切除生検の病理組織より,古典的Kaposi肉腫の再発と診断した.古典的Kaposi肉腫は緩徐な経過をたどり,予後良好とされているが,後ろ向き研究で再発率が高いこと,再発までの期間が長いことが示唆されいる.それゆえ,古典的Kaposi肉腫は長期の経過観察が重要であると考える.

参考文献

1) Hiatt KM, et al:Mod Pathol 21:572, 2008
2) Kaposi M, et al:Arch Dermatol Syph(Prague)4:265, 1872
3) Gao SJ, et al:Nat Med 2:925, 1996
4) 片野晴隆:臨と微生物 38:233, 2011
5) Aoki Y, Tosato G:Blood 104:810, 2004
6) Cesarmon E, et al:Nat Rev Dis Primers 5:9, 2019
7) 高橋健造:日ハンセン病会誌 88:39, 2019
8) Brenner B, et al:Cancer 95:1982, 2002
9) Di Lorenzo G, et al:Crit Rev Oncol Hematol 68:242, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?