icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻8号

2022年07月発行

文献概要

症例報告

3か所の神経支配領域に発症した多発性帯状疱疹の1例

著者: 岡本修1 柳井優花2 長松顕太郎2 小野敬司2 工藤洋一3 蒲池綾子4 小松栄二5 橋本裕之6

所属機関: 1大分市医師会立アルメイダ病院皮膚科 2大分市医師会立アルメイダ病院血液内科 3大分市医師会立アルメイダ病院臨床検査部門 4大分市医師会立アルメイダ病院病理診断科 5大分市医師会立アルメイダ病院放射線科 6大分市医師会立アルメイダ病院形成外科

ページ範囲:P.643 - P.649

文献購入ページに移動
要約 73歳,女性.多発性骨髄腫に対して血液内科で化学療法中,慢性腎不全のため血液透析中.右前額部,左側頸部,右下腹部—腰背部に小水疱を伴う浮腫性紅斑が出現した.血液内科でビダラビンの点滴投与が開始され,3日後に紹介された.水痘・帯状疱疹ウイルス抗原キットを用いた抗原検査は3か所ともに陽性で,Tzanck試験でもウイルス性巨細胞を認めた.このため,隣接しない3か所の神経支配領域に発症した多発性帯状疱疹と診断した.ビダラビン投与継続により皮疹はやや陳旧化したが,肺真菌症,カンジダ性敗血症,播種性血管内凝固症候群などを合併し,患者は初診9日目に死亡した.2000年以降多発性帯状疱疹の報告は英文を含めても数報で,自験例を稀少例として報告する.また,多発性帯状疱疹を見た場合には,基礎疾患に伴う不良な全身状態や免疫抑制が背景にあると認識すべきと考えた.

参考文献

1) 小嶋理一,他:皮膚と泌尿 21:606, 1959
2) 山路雅己,他:皮膚 37:279, 1995
3) 柿沼美和,他:日皮会誌 112:1129, 2002
4) 矢野道子,小笠原恭子:茨城臨医誌 39:93, 2003
5) 石川博康,他:臨皮 63:682, 2009
6) 原田きや子,他:全国介護老人保健施設大会抄録集 20:Q-9-3, 2009
7) 石川博康,他:日皮会誌 121:3366, 2011
8) 渡邊晃正,他:日皮会誌 122:163, 2012
9) 山村里恵,他:西日皮膚 75:282, 2013
10) 八丁目直和,他:日皮会誌 127:44, 2017
11) Pedrosa A, et al:Pediatr Infect Dis J 34:225, 2015
12) Takashima S & Ota M:Cleve Clin J Med 82:579, 2015
13) Rodríguez-Lomba E, et al:Actas Dermosifiliogr(Engl Ed) 110:690, 2019
14) Nam KH, et al:J Am Acad Dermatol 85:1010, 2021
15) 高須 博,他:日皮会誌 108:1419, 1998
16) 岸 隆行,赤坂俊英:臨皮 70:989, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?