icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻9号

2022年08月発行

文献概要

症例報告

プレドニゾロン追加内服により治療の継続ができたドセタキセルによる皮膚硬化の1例

著者: 小林孝弘1 岸部麻里1 山崎泰宏2 田村俊哉3 山本明美1

所属機関: 1旭川医科大学皮膚科学講座 2旭川医療センター呼吸器内科 3もとまち皮ふ科クリニック

ページ範囲:P.673 - P.678

文献購入ページに移動
要約 77歳,女性.進行性肺腺癌に対してドセタキセル(DOC)治療を開始した.浮腫の予防目的にデキサメタゾン前投与を併用していたが,2コース後から両下腿に浮腫と疼痛が出現し,徐々に悪化した.7コース後に休薬したが,両下肢の皮膚硬化と足関節の可動域制限が顕在化した.病理組織像で真皮から皮下組織にかけて膠原線維の肥厚・膨化を認めたが,Raynaud現象や手指硬化はなく強皮症特異的自己抗体はすべて陰性であった.DOCによる皮膚硬化と診断し,プレドニゾロン(PSL)20mg/日の内服を開始し改善傾向となった.原疾患が悪化しDOC 80%量で再開した後,皮膚症状が再燃した.DOC投与前日からPSLを増量し皮膚症状の悪化を防いだ.本症はDOC中止とステロイド投与が有効とされるが主治医と連携し,DOC継続の可否やステロイド追加投与について検討すべきと考えた.

参考文献

1) 崎山とも,他:臨皮 67:663, 2013
2) Sibaud V, et al:Eur J Dermatol 26:427, 2016
3) Verhulst L, et al:Int J Dermatol 57:1075, 2018
4) Battafarano DF, et al:Cancer 76:110, 1995
5) 戸倉新樹:新しい薬疹,文光堂,126, 2019
6) Cleveland MG, et al:Cancer 88:1078, 2000
7) Hassett G, et al:Clin Exp Rheumatol 19:197, 2001
8) 簗場広一,他:日皮会誌 116:201, 2006
9) 伊藤宗成,他:臨皮 60:13, 2006
10) 久保正英,他:皮膚臨床 49:599, 2007
11) 加賀美緒,他:皮病診療 30:551, 2008
12) 山口かおり,他:皮膚臨床 55:747, 2013
13) 東 祥子,他:皮膚病診療 32:887, 2010
14) Winkelmann RR, et al:Int J Dermatol 55:97, 2016
15) 矢部寛樹,他:自治医大紀 41:61, 2018
16) Okada K, et al:Br J Dermatol 173:1054, 2015
17) 前鼻健志,他:日泌会誌 101:727, 2010
18) Tsavaris N, et al:Br J Cancer 87:21, 2002
19) 加藤あい,他:癌と化療 41:211, 2014
20) 川上和宜:薬局 67:2577, 2016
21) Matsunaga T, et al. Drug Metab Pharmacokinet 27:653, 2012
22) 川合眞一:臨研プラクティス 5:18, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?