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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻9号

2022年08月発行

文献概要

症例報告

びらんが主体であった線状IgA水疱性皮膚症の1例

著者: 杉森彩香1 野々垣彰1 田中弘子1 加藤和夏1 古山千晶1 小原明希1 玉木毅1

所属機関: 1国立国際医療研究センター病院皮膚科

ページ範囲:P.679 - P.683

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要約 29歳,男性.初診の約4年前から顔面,頭部に瘙痒を伴う紅斑,びらんが出現し,徐々に全身に拡大し瘙痒が増悪したため当科を紹介受診した.初診時は顔面および体幹に紅斑,丘疹,びらんが多発し,背部では紅斑に伴う小水疱が数個散見された.病理組織像では好酸球,好中球の浸潤を伴う表皮下水疱を認め,蛍光抗体直接法で基底膜に沿って線状に沈着したIgAが認められたことから,線状IgA水疱性皮膚症と診断した.1M食塩水剝離皮膚を基質とした間接法ではIgAの沈着は認められなかったが,成人型の線状IgA水疱性皮膚症では蛍光抗体間接法が陰性となる場合も珍しくない.線状IgA水疱性皮膚症は,自験例のように掻破による修飾が加わると水疱が目立たずびらんが主体となる場合もあるため,難治性の紅斑を伴うびらんを診た際は線状IgA水疱性皮膚症の可能性を念頭に置く必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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