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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻9号

2022年08月発行

文献概要

症例報告

女児に生じた硬化性萎縮性苔癬の1例

著者: 根本千絢1 福山雅大1 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.684 - P.688

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要約 9歳,女児.2歳頃より陰部に皮疹を認めていた.1か月前より瘙痒感が出現したため当院を受診した.初診時,大陰唇およびその近傍に白色丘疹が列序性に分布していた.皮疹部からの皮膚生検では,角質肥厚,液状変性,表皮真皮境界部のリンパ球を主体とする炎症細胞浸潤,真皮浅層の帯状のヒアリン化を認めた.硬化性萎縮性苔癬と診断し,ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏の外用を開始したところ,2か月後に略治した.硬化性萎縮性苔癬の小児例は予後良好とされているが,海外では皮疹がいったん改善した後に再燃した症例が多数報告されているだけでなく,成人後に外陰部有棘細胞癌を発症した症例も報告されている.本疾患は長期的な経過観察が必要となるため,小児例では通院の中断が問題となりうる.患児や保護者に患部を定期的に観察させるなど長期的な経過観察を視野においた取り組みが重要であると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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