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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻9号

2022年08月発行

文献概要

症例報告

毛細血管拡張性運動失調症に合併したcutaneous granulomasの1例

著者: 天貝まゆ子1 天貝諒1 武藤雄介1 笹原洋二2 山﨑研志1

所属機関: 1東北大学病院皮膚科 2東北大学病院小児科

ページ範囲:P.695 - P.700

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要約 14歳,男児.幼少期から運動失調があり6歳時に小児科で毛細血管拡張性運動失調症(ataxia telangiectasia)と診断された.当科初診半年前から右頰と左肘に鱗屑を付す紅色丘疹が集簇し局面を呈し,腹部には少数の丘疹が出現してきた.疼痛や瘙痒などの自覚症状はなかった.皮膚生検では,真皮内に壊死を伴う肉芽腫と周囲にリンパ球の浸潤を認めた.血液学的所見,組織学的所見,画像所見から総合的に判断し,毛細血管拡張性運動失調症に合併したcutaneous granulomasと診断した.ステロイド外用のみで皮疹はほぼ拡大なく経過しており,潰瘍化や新たな皮疹の出現はない.調べうる限り,これが本邦で初の症例報告である.原発性免疫不全症に伴う皮膚肉芽腫についての海外の報告では,難治性の潰瘍を呈する症例や,リンパ腫を発症する症例の報告もあり,注意深く経過を観察していく必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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