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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻9号

2022年08月発行

文献概要

症例報告

多発性石灰化上皮腫の1例

著者: 田中弘子1 青笹尚彦1 杉森彩香1 小原明希1 野々垣彰1 玉木毅1 瓜生英子2

所属機関: 1国立国際医療研究センター病院皮膚科 2国立国際医療研究センター病院小児科

ページ範囲:P.701 - P.706

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要約 11歳,女児.4歳時に左上腕石灰化上皮腫の切除歴がある.6歳頃から左側頸部に1か所,後頸部に2か所,右上腕に1か所の計4か所に皮下腫瘤が出現し,増大したため当科を紹介受診した.4か所とも可動性良好,弾性硬の皮下腫瘤であり,全切除を施行,病理所見より,多発性石灰化上皮腫と診断した.母親にも多発性石灰化上皮腫の既往がある.自験例の既往歴は気管支喘息のみで,出生,発達段階で異常を指摘されたことはなく,術後6か月経過した現時点で石灰化上皮腫の新生や再発はなく,全身状態にも問題はない.石灰化上皮腫は稀ではないが,多発例は筋強直性ジストロフィーをはじめとした先天性疾患を合併する報告があるため,家族歴の確認が大切であり,切除後も先天性疾患に伴う症状が出現しないか慎重な経過観察が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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