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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻9号

2022年08月発行

文献概要

症例報告

脂漏性角化症様の変化を伴ったnodular hidradenomaの1例

著者: 岡﨑大二郎1 松澤高光1 松岡悠美1 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学

ページ範囲:P.707 - P.712

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要約 71歳,女性.初診約10年前に,右上腹部に5mm大の褐色結節を自覚し,数年前から中央部が淡紅色調を呈するようになった.徐々に増大傾向あり当科を受診した.初診時,右上腹部に20×23mmのドーム状に隆起する,表面粗糙な骨様硬の紅色結節があり,その辺縁に角化を伴う褐色斑を認めた.紅色結節部では病理組織学的に真皮浅層から脂肪層浅層にかけてclear cell,polygonal cell,cuboidal cellなど多様な細胞からなる腫瘍胞巣が一部囊腫構造,管腔構造を呈し増生し,間質は高度の線維化を伴っていた.免疫染色にて腫瘍細胞はサイトケラチン(CAM5.2)陽性であった.結節辺縁では表皮は過角化を伴い軽度肥厚し,偽角質囊腫を多数認め,基底層にメラニン沈着を伴っていた.以上から,脂漏性角化症様の変化を伴ったnodular hidradenomaと診断した.自験例では結節が骨様硬であったことに加え,脂漏性角化症様の変化を伴っていたことにより臨床的にNHを鑑別に挙げることがより困難であった.

参考文献

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12) Lee JH, et al:Indian J Dermatol Venereol Leprol 78:409, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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