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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻9号

2022年08月発行

文献概要

症例報告

大陰唇に生じた超手拳大懸垂性のcellular angiofibromaの1例

著者: 大原裕士郎1 中澤遼1 細本宜志1 磯貝理恵子1 山田秀和1 若狭朋子2

所属機関: 1近畿大学奈良病院皮膚科 2近畿大学奈良病院病理診断科

ページ範囲:P.713 - P.719

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要約 64歳,女性.13年前から右外陰部に大豆大の腫瘤を自覚していたが,無症状のため放置していた.最近増大傾向があり,当院を受診した.外陰部に直径15cm大の懸垂性腫瘤を認めた.MRIでは境界明瞭,辺縁は平滑でT2強調像で索状の低信号を伴う高信号を示し懸垂性の線維性腫瘍が疑われた.切除術を施行した.腫瘤は右大陰唇から発生していた.摘出標本では境界明瞭であり,拡張した小中血管を多数認め,線維芽細胞が増生していた.CD34,エストロゲン受容体は陽性,プロゲステロン受容体,デスミン,αSMAは陰性であった.自験例と臨床的に同じような懸垂性の外陰部発生の血管筋線維芽細胞腫や深在性(侵襲性)血管粘液腫が報告されている.これらの疾患との鑑別が必要であるが組織学的,免疫組織学的に困難なことが多い.自験例では腫瘍細胞の索状棚状配列がなく,核異型もないことから富細胞性血管線維腫と診断した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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