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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科76巻9号

2022年08月発行

文献概要

症例報告

左上背部に生じたnested melanomaの1例

著者: 横山大輔1 上田佳奈1 川田裕味子1 高井利浩1

所属機関: 1兵庫県立がんセンター皮膚科

ページ範囲:P.739 - P.744

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要約 77歳,男性.約2年前から左上背部の色素斑を自覚し,増大あるため紹介受診した.左上背部に全体として21×13mm大の範囲にやや境界不明瞭な黒褐色〜褐色の小結節が集簇していた.ダーモスコピー所見は青白色構造,多様な形状,濃淡差のある褐色〜黒褐色調の不規則な小点や小球の構造が目立っていた.部分生検時の病理組織では真皮浅層に円形〜類円形の大小の胞巣を形成し,胞巣内には核の大小不同なメラニン顆粒を有し,メラノサイト様細胞の増殖が認められた.全切除時の病理組織でも部分生検時と同様の所見であった.個別性増殖や表皮内上向性増殖は目立たず,腫瘍細胞の核の異型性は軽度〜中等度程度であった.特徴的な病理組織のパターンおよび過去の報告も検討し,nested melanomaと診断した.ダーモスコピー像や病理組織の所見が特徴的であり,この亜型の存在を認識することは診断上,重要と考える.

参考文献

1) Kutzner H, et al:Mod Pathol 25:838, 2012
2) Amin MB, et al:AJCC Cancer Staging Manual, 8th ed., Springer-Verlag, p563, 2017
3) Pennacchia I, et al:Virchows Arch 461:433, 2012
4) Garbe C, Metzier G:JAMA Dermatol 149:905, 2013
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6) Longo C, et al:JAMA Dermatol 149:941, 2013
7) Casari A, et al:Ann Dermatol Venereol 141:458, 2014
8) Petković M, Jurakić TR:Acta Dermatovenerol Croat 25:80, 2017
9) 斎田俊明(編):ダーモスコピーのすべて—皮膚科の新しい診断法,南江堂,p30, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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