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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻1号

2023年01月発行

症例報告

切開ドレナージで合併症を予防しえた非イオン性ヨード造影剤の血管外漏出の2例

著者: 加藤和夏1 野々垣彰1 杉森彩香1 田中弘子1 古山千晶1 小原明希1 玉木毅1

所属機関: 1国立国際医療研究センター病院皮膚科

ページ範囲:P.13 - P.18

文献概要

要約 症例1:74歳,男性.症例2:64歳,男性.両症例ともに造影CT施行時に非イオン性ヨード造影剤100 mlのほぼ全量が血管外に漏出した.直後より腫脹と疼痛が出現.同日撮影した単純X線像で造影剤の漏出の範囲と程度を把握し,皮膚切開,ドレーン留置を施行した.切開後多量の淡血性の排液が排出された.術後2〜3日後に再度単純X線を撮影し,造影剤が排出されたことを確認しドレーンを抜去した.早期の切開ドレナージにより,コンパートメント症候群や皮膚壊死などの合併症の発症を防ぐことができた.造影剤漏出時は皮膚科にコンサルトされることが多く,コンパートメント症候群を発症するとその後重大な後遺症を残すリスクが高い.われわれ皮膚科医はこれを防ぐために,造影剤漏出時の評価方法および治療方法について熟知し,放射線科など他科や他職種と造影剤漏出時の対応を共有することが大切である.比較的低侵襲な切開ドレナージは積極的に検討すべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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